JAPAN MOVIE CRITICS AWARD 第35回
日本映画批評家大賞
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JUNE 1 , 2026
At the Tokyo International Forum

助演男優賞
横浜流星
『国宝』
横浜流星
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選考理由 (批評家コメント)

 『国宝』は、歌舞伎の世界で女形の頂点を目指す“ふたり”の男性を描いた作品である。つまり、喜久雄役を演じた吉沢亮だけでは成立しない。そこには、彼の対となる俊介役を演じた横浜流星の存在が不可欠なのである。
 相手の言葉やリアクションを受け止める“受けの演技”は、お互いの感情を循環させる重要な役割を担うもの。『正体』などで様々な演技賞に輝き、「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」ではNHK大河ドラマの主役を演じた横浜流星が、本作ではあえて“受け”という影の側を引き受けている。

 その光と影という二面性は、物語における俊介の人生と、その俊介役を演じる横浜の立場と奇しくも重なるのである。李相日監督は、歌舞伎の世界の当事者ではない俳優が演じることこそが重要だったことを述懐しているが、当然のことながら横浜は1年半にもわたる稽古と役作りによって、主役である吉沢と同等の仕上がりを要求された。
 そこにビリングの順番は関係ないのだ。俊介が歌舞伎の名門一家の御曹司という設定である以上、舞踏や所作に天性の性質を感じさせなければならないという更なる難しさがある。
 ところが、主役である喜久雄=吉沢亮を立てるため、横浜流星は己の努力を顕示できないという立場にある。ライバルであり親友でもあるという“ふたり”。『国宝』という作品の物語と、『国宝』の登場人物を演じる横浜の立場という境界線が曖昧模糊になってゆくという不可思議は、そもそも横浜と吉沢のフィルモグラフィにも言及できる。

 例えば、横浜のドラマ初出演作となった「仮面ライダーフォーゼ」。この作品で仮面ライダーメテオ役の吉沢が演じていたのは、朔田流星という同じ“流星”という名前の人物。しかも、横浜が演じる二郎の親友役だったのだ。第49回日本アカデミー賞授賞式内で、吉沢との関係について問われた横浜が「運命的なものを感じた」と語った理由は、そんなところにもあるのだろう。だからこそ、佇まいや妖艶さをも絶妙に抑制させた横浜の影の部分にこそ、私たちは“光”を当てたいと切望するのである。

(松崎 健夫)
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